AnthropicがClaude Codeをリリースして話題になっているが、一方でCursorも着実にユーザーを増やしている。どちらもVS Codeベースの開発環境を脅かす存在として注目されているわけだが、実際のところどっちが使いやすいのか?
というわけで、両方を実際のプロジェクトでガッツリ使ってみて比較してみることにした。結論から言うと、どちらも優秀だが、開発スタイルによって明確に向き不向きがあるという感じだった。

検証環境
今回は以下の条件で戦わせてみた:
- プロジェクト: React + TypeScript + Vite
- 期間: 3週間(それぞれ交互に使用)
- タスク: API連携、UI実装、リファクタリング、バグ修正
- 評価軸: 速度、正確さ、使いやすさ、そして「開発が楽しいか」
速度対決:ターミナル職人 vs エディタ魔法使い
Claude Code
- 起動速度: ターミナルから
claude code
で数秒 - 応答速度: 爆速。本当に速い。GPT-4oより速く感じる
- ファイル操作: 複数ファイルを一気に生成・編集するのが得意
bash# こんな感じで起動
$ claude code
# プロンプト入力後、数秒でファイルがバババッと生成される
Cursor
- 起動速度: VS Codeとほぼ同じ。普通に速い
- 応答速度: Claude 4指定時はまぁまぁ速い。GPT-4oだとちょっと遅い
- ファイル操作: VS Codeベースなので慣れ親しんだ操作感
勝者: Claude Code
ただし、Claude Codeは「ちょっと速すぎて不安になる」という新しい感情を体験できる。本当にこんなにサクサク作って大丈夫なのか?と思ってしまう。
正確さバトル:コンテキスト理解力を試す
Claude Code
- プロジェクト理解: プロジェクト全体を把握してる感がすごい
- 依存関係:
package.json
を見てライブラリの使い方を理解してくれる - コード品質: TypeScriptの型定義がかなり丁寧
typescript// Claude Codeが生成したAPI呼び出し
interface ApiResponse<T> {
data: T;
status: 'success' | 'error';
message?: string;
}
async function fetchUsers(): Promise<ApiResponse<User[]>> {
try {
const response = await fetch('/api/users');
if (!response.ok) {
throw new Error(`HTTP error! status: ${response.status}`);
}
return await response.json();
} catch (error) {
return {
data: [],
status: 'error',
message: error instanceof Error ? error.message : 'Unknown error'
};
}
}
Cursor
- プロジェクト理解: ファイルを開いている範囲では理解度高い
- 依存関係: 時々古いライブラリの書き方を提案してくる
- コード品質: モデル次第。Claude 4なら優秀、GPT-4oだとたまにイマイチ
typescript// Cursorが生成したAPI呼び出し(GPT-4o使用時)
const fetchUsers = async () => {
const response = await fetch('/api/users');
const data = await response.json();
return data; // エラーハンドリングが甘い
};
勝者: Claude Code
Cursorはモデルによって品質にバラつきがあるのが惜しい。Claude 4を使えば互角だが、料金を考えるとGPT-4oを選びがちになる。
使いやすさ決戦:ワークフロー vs 慣れ親しんだ環境
Claude Code
- 学習コスト: ターミナルベースなので最初は戸惑う
- UI/UX: シンプルで迷わない。余計な機能がない
- 拡張性: まだ発展途上。プラグインとかはない
- プロンプト: 自然言語でざっくり指示すればOK
Cursor
- 学習コスト: VS Code使えるなら即戦力
- UI/UX: VS Codeそのもの。馴染み深い
- 拡張性: VS Codeの全拡張機能が使える
- プロンプト: Cmd+Kでサクッと指示。コメントからコード生成も便利
勝者: 引き分け
これは完全に好みの問題。新しいワークフローを受け入れられるならClaude Code、既存のエディタ環境を維持したいならCursor。
実際の開発シーンでの使い分け
Claude Codeが輝くシーン
新規プロジェクトの立ち上げ
「React + TypeScript + TailwindでTODOアプリを作って。
状態管理はZustand、APIはjson-serverで。」
→ 5分後にはプロジェクト一式が完成している恐怖
大規模リファクタリング
- プロジェクト全体を理解した上での提案が秀逸
- 影響範囲を考慮したファイル修正が得意
Cursorが輝くシーン
既存プロジェクトでの細かい調整
- いつものエディタで作業しながらAIのサポートを受けられる
- Git連携やデバッガーなど、開発ツールをそのまま使える
ペアプロ的な使い方
- コメントを書いてCmd+Kでコード生成
- 選択範囲を指定しての部分修正
料金面での現実
Claude Code
- 現在: プレビュー期間中で無料
- 将来: 不明。でもAnthropicなので有料化は確実
- 制限: 1日の利用回数制限あり
Cursor
- Pro: $20/月
- Business: $40/月
- 制限: プランによって利用回数制限あり
正直、どちらも「AIツールにこの金額払う価値あるかな?」と思ってしまう庶民的感覚がある。でも使ってみると確実に開発効率は上がるので、悩ましいところだ。
地味だけど重要な違い
ファイル管理
- Claude Code: 勝手にファイル作って勝手に編集する(時々驚く)
- Cursor: エディタ上で確認しながら進められる(安心感)
学習機能
- Claude Code: プロジェクトの特徴を学習してる感がある
- Cursor: 個人のコーディングスタイルを覚えてくれる
コミュニティ
- Claude Code: まだ小さいが熱狂的
- Cursor: 結構大きい。情報も多い
結論:どっちを選ぶべきか
Claude Codeはこんな人におすすめ
- 新しいツールに抵抗がない
- プロトタイプをガンガン作りたい
- 「AIに全部任せたい」派
Cursorはこんな人におすすめ
- VS Codeから離れたくない
- 既存のワークフローを維持したい
- 「AIは補助ツール」派
個人的には、プロトタイプや新規開発はClaude Code、本格的な開発・保守はCursorという使い分けが良さそうだと感じている。
ただし、どちらも急激に進化しているので、この記事を書いている間にも新機能が追加されている可能性がある。AIツール界隈の進化スピードは本当に恐ろしい。
最後に
結局のところ、どちらも素晴らしいツールだ。ただし、「AIがコードを書いてくれるから楽になる」というより「新しいワークフローを覚える必要がある」という感じもする。
特にClaude Codeは従来のエディタとは全く違うアプローチなので、慣れるまでに時間がかかる。でも慣れてしまうと、その速度感は中毒性がある。
Cursorは安定感があるが、「結局VS Codeでよくない?」という気持ちもちょっとある。でもAI機能の統合度は確実にVS Codeより上だ。
どちらを選ぶにしても、生成されたコードはちゃんとレビューしような。AIが優秀になったからといって、思考停止は禁物だ。特に本番環境にデプロイする前には必ず動作確認を。
あと、どちらも無料で試せる(Claude Codeは今のところ)ので、両方触ってみて自分に合う方を選ぶのが一番だろう。