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書籍紹介 / 書くスキルも設計スキルも飛躍的に上がる! プログラムを読む技術

ALL開発

そのタイトルの通り、プログラムを「読む」ことに焦点を当てた一冊である。プログラミングの本というと、どうしても「書く」ことにフォーカスしがちだが、この本は「読む」ことの重要性を説き、具体的な技術や思考法を紹介している。

良かったところ

プログラムを読む力は、プログラマーとしての成長に直結するスキルである。しかし、多くの人は「とにかくコードを書け!」とばかり言われ、読む訓練を体系的に受けることが少ない。この本は、その盲点を突き、読み方のプロセスを丁寧に解説している点が評価できる。

特に印象的だったのは、「コードを読むときの視点を明確にする」という考え方だ。コードはただ漫然と読んでも意味がない。仕様を理解するために読むのか、バグを探すために読むのか、それともリファクタリングのために読むのか。読む目的を明確にすることで、効率的にコードを理解できるようになる。このあたりの説明は実践的で、読み終わった後すぐにでも現場で使えそうな知識であった。

また、コードの「設計の意図」を読み取る方法についての解説も良かった。プログラムは単なる文字列の集合ではなく、設計者の意図が詰まっている。それを解きほぐし、なぜそのコードがそのように書かれているのかを考えることで、設計スキルの向上につながる。この考え方を意識すれば、ただの「書く人」から「設計できる人」へと成長できるかもしれない。

ちょっと残念だったところ

  • サンプルコードがやや冗長
    説明のために用意されたものとはいえ、もっとシンプルにできたのではないかと思う部分があった。特に、初心者にとっては「これを読んで理解しろと言われても……」と感じる部分があるかもしれない。
  • 書く技術についての具体的な指導はそれほど多くない
    読む技術の大切さを説くのは良いが、「読めるだけではダメ」という点も強調してほしかった。読めるだけで仕事が成り立つなら、プログラマーは皆、本ばかり読んでいればいい。しかし実際には、読む力と同時に、それを活かして「書ける」ことが求められる。

結論

「コードを読めるようになりたいが、どう読めばいいかわからない」というプログラマーにはピッタリだ。ただし、「読めるようになればすぐに設計スキルが上がる!」という幻想は捨てるべきである。読む力を高め、それをどう活かすかは結局のところ、読者自身に委ねられているのだから。