『リーダブルコード』 は、ソフトウェア開発における「読みやすいコードを書く技術」に特化した実践的な指南書です。プログラムが動けばそれでいい、という考えを超えて、「他の人(そして未来の自分)にとって理解しやすいコードを書くことの重要性」を強調しています。本書は、エンジニアのスキルアップに直結する内容であり、特に新人エンジニアやコードレビューを頻繁に行う人にとって必読の一冊 です!
「リーダブルコード ―より良いコードを書くためのシンプルで実践的なテクニック」


「コードは他人が読むもの」という視点
本書の基本的なテーマは、「コードはコンピュータのためではなく、人間のために書くべきだ」 という考え方に基づいています。これは、ソフトウェア開発の現場で実際にプログラムを書いたことがある人なら、すぐに共感できる内容です。
特に印象に残ったのは、「コードは理解しやすい文章であるべき」 という主張です。つまり、プログラムの可読性を高めることは、「他の開発者がそのコードを素早く理解し、修正・拡張しやすくする」ことにつながります。
例えば、変数名や関数名を適切に付けるだけで、コードの意図が直感的に伝わるようになります。本書では、「変数名はできるだけ具体的に」「関数名はその処理の目的を明確にする」など、実践的なアドバイスが豊富に紹介されています。
(悪い例)
let d = new Date();
(良い例)
let currentDate = new Date();
このようなシンプルな改善だけで、コードの可読性は大きく向上します。
「誤解されない名前をつける」
本書では、変数名・関数名・クラス名の命名について、多くのページが割かれています。特に「誤解されない名前をつける」という原則は、すぐにでも実践できるテクニックの一つです。
例えば、「getPage()
」という関数名があったとします。この関数が「ページを取得する」という動作をするのか、それとも「ページ数を返す」のかは曖昧です。本書では、関数の目的を明確にするために、fetchPage()
(データを取得する)や getPageCount()
(ページ数を取得する)などの具体的な名前をつけるべき だと述べられています。
これは、実際の開発現場でもよくある問題で、適切な命名がコードの可読性と保守性を大きく左右する ことがよくわかります。
「コメントは補助的なものにする」
多くのプログラマーは、「コードにたくさんコメントを書けば、他の人が理解しやすくなる」と考えがちですが、本書ではその考えを否定しています。
「コメントを書く代わりに、コードを分かりやすくすべき」 という主張は、とても印象的でした。例えば、以下のようなコメントは不要です。
(悪い例)
// 現在のユーザーを取得する
let user = getUser();
これは、関数名が「getUser()」である時点で、何をしているのかが明確なので、コメントは不要です。
逆に、なぜこの処理が必要なのかを説明するコメントは有効 だと述べられています。
(良い例)
// ユーザーがログアウト後も設定を保持するため、一時的にキャッシュに保存する
cacheUserSettings();
つまり、本書では「コードがコメントなしで理解できるように書く」ことを推奨しており、コメントは「コードの意図」を補足するものとして使うべき だと説明しています。
「短いコードよりも、分かりやすいコードを優先する」
プログラムを書くとき、できるだけ短く書くことを意識する人も多いですが、本書では「可読性を損なわない範囲で書くべき」と述べています。
例えば、一行で書けるコードを無理に詰め込むのではなく、適切に改行やインデントを使い、論理的なまとまりを意識する ことが大切です。
(悪い例)
const result = data.map(x => x * 2).filter(x => x > 10).reduce((a, b) => a + b);
(良い例)
const doubled = data.map(x => x * 2);
const filtered = doubled.filter(x => x > 10);
const sum = filtered.reduce((a, b) => a + b);
このようにコードを分割することで、意図が明確になり、バグの発生率も低くなる という点が、本書を読んで非常に納得できました。
まとめ
良い点
- 実践的なテクニックが多く、すぐに使える
- 具体的なコード例が豊富で理解しやすい
- エンジニア初心者でも、すぐに読みやすいコードが書けるようになる
- ベテランエンジニアでも、コードレビューの際の指針として活用できる
『リーダブルコード』は、より良いコードを書くための実践的なガイドブック であり、プログラムの可読性を向上させるための具体的なテクニックが多数紹介されています。本書を読むことで、「コードは動けばいいのではなく、理解しやすく書くことが重要」という考え方が身につきます。また、チーム開発において、他の開発者がストレスなくコードを読めることが、結果的に生産性向上につながる こともよく理解できます。
新人エンジニアだけでなく、コードレビューを行うリーダーや、長期的なプロジェクトに関わる開発者にとっても、有益な内容が詰まった一冊です。
「コードの可読性を向上させたい」 と考えるすべての人に、ぜひおすすめしたい本です。